バルデナフィル10mgと20mgの違い|効果・用量の考え方
バルデナフィルには10mgと20mgがあり、
「20mgは10mgの2倍効くの?」
「最初から20mgを飲んだほうがいい?」
「10mgで効かなければ20mgにすればいい?」
「20mgのほうが長く効く?」
と疑問を持つ方も多いでしょう。
結論からいうと、10mgと20mgの最も大きな違いは有効成分の量です。しかし、20mgだから効果が単純に2倍になるわけではありません。
日本国内の添付文書では、通常成人の基本用量は1回10mgです。10mgで十分な効果が得られず、かつ忍容性が良好と判断された器質性または混合型EDでは、20mgへの増量が認められています。服用はいずれも1日1回までで、次回まで24時間以上空けます。
つまり、
10mg=標準用量
20mg=10mgで効果不十分な場合に医師が検討する増量用量
という位置づけで考えるのが基本です。
この記事では、バルデナフィル10mgと20mgの効果、血中濃度、効き始める時間、持続時間、副作用、適切な用量の考え方を解説します。
バルデナフィル10mgと20mgの違い
まず主な違いを整理します。
| 項目 | 10mg | 20mg |
|---|---|---|
| 有効成分量 | バルデナフィル10mg | バルデナフィル20mg |
| 国内での位置づけ | 通常の成人用量 | 条件を満たした場合の増量用量 |
| 服用タイミング | 性行為の約1時間前 | 性行為の約1時間前 |
| 服用回数 | 1日1回まで | 1日1回まで |
| 次回服用まで | 24時間以上 | 24時間以上 |
| Tmax中央値 | 約45分 | 約45分 |
| 半減期 | 約3.19時間 | 約3.98時間 |
| 薬物曝露量 | 基準 | 10mgより増加 |
国内添付文書では、通常成人は10mgを性行為の約1時間前に服用し、10mgで十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性または混合型ED患者では20mgへ増量できます。
10mgが基本用量
日本国内では、通常成人に対するバルデナフィルの基本的な用量は、
1回10mg
です。
性行為の約1時間前に服用します。
したがって、
「20mgのほうが強そうだから最初から20mg」
という使い方が標準ではありません。
まず10mgで、
- 十分な硬さが得られるか
- 挿入できるか
- 勃起を維持できるか
- 副作用に問題がないか
などを評価し、そのうえで必要な場合に増量が検討されます。
20mgはどんな場合に使う?
国内添付文書では、20mgへの増量について条件が設定されています。
対象となるのは、
10mgで十分な効果が得られない
+
忍容性が良好
+
器質性または混合型の勃起不全
の場合です。
「忍容性が良好」とは、簡単にいえば、10mgを使用した際に副作用などが許容でき、安全性上大きな問題がない状態です。
つまり、
10mgで効かないから自動的に20mg
ではありません。
効果と安全性の両方を確認したうえで医師が増量を判断します。
PMDAの審査報告書でも、10mgで十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された場合に20mgへの増量を検討するという考え方が示されています。
20mgは10mgの2倍効く?
単純に2倍効くとはいえません。
20mgは10mgの2倍量の有効成分を含みますが、
用量が2倍
=
勃起力が2倍
=
効果時間が2倍
という関係ではありません。
薬の効果には、
- EDの原因
- EDの重症度
- 血管機能
- 神経機能
- 性的刺激
- 年齢
- 基礎疾患
- 併用薬
- 食事
- 心理状態
など多くの要因が関係します。
実際、薬物動態では20mgのほうが10mgより血中への薬物曝露量は増えますが、吸収のピークに達する時間はほぼ同じです。
血中濃度は20mgのほうが高くなる
日本人健康成人男性を対象とした試験では、空腹時に単回服用した際の薬物動態は次のようになっています。
| 項目 | 10mg | 20mg |
|---|---|---|
| AUC | 20.94 µg・h/L | 44.14 µg・h/L |
| Cmax | 10.05 µg/L | 18.35 µg/L |
| Tmax中央値 | 0.75時間 | 0.75時間 |
| 半減期 | 3.19時間 | 3.98時間 |
AUCは体がどの程度薬に曝露されたかを示す指標、Cmaxは最高血中濃度です。
20mgでは10mgと比較してAUC・Cmaxとも高くなっています。添付文書では、AUCおよびCmaxは用量比にほぼ応じて増加したとされています。
そのため20mgでは、より多くのバルデナフィルが体内に存在することになります。
しかし、これをそのまま、
「効果が2倍」
と読み替えることはできません。
20mgのほうが早く効く?
基本的に、
20mgだから10mgより早く効く
とは考えません。
日本人健康成人男性を対象とした薬物動態試験では、血中濃度が最高になるTmax中央値は、
10mg:約0.75時間(45分)
20mg:約0.75時間(45分)
で同じでした。
したがって、
「20mgなら10mgの半分の時間で効く」
というものではありません。
国内添付文書上も10mg、20mgともに服用の基本は性行為の約1時間前です。
20mgのほうが長く効く?
20mgでは半減期がやや長くなっています。
日本人健康成人男性では、
10mg:3.19時間
20mg:3.98時間
でした。
ただし、この約0.8時間の違いから、
「20mgなら10mgよりはるかに長時間効く」
と考えることはできません。
半減期は血中の薬物濃度が半分になるまでの時間であり、ED改善効果が続く時間そのものではありません。
したがって20mgは、
長時間作用させるために選択する用量ではなく、10mgで十分な効果が得られない場合に検討される増量用量
と考えることが重要です。
20mgのほうがED改善効果は高い?
患者によっては、20mgへの増量によってED改善効果が高まる場合があります。
国内では、糖尿病を有するED患者を対象とした臨床試験で10mgと20mgが比較されています。
IIEF勃起機能ドメインスコアは、
| グループ | 投与前 | 投与後 |
|---|---|---|
| プラセボ | 13.7 | 16.3 |
| バルデナフィル10mg | 13.6 | 21.8 |
| バルデナフィル20mg | 13.9 | 22.9 |
でした。
10mg・20mgともプラセボより有意な改善がみられ、さらにこの試験では20mg群と10mg群の間にも統計学的な有意差が認められています。
したがって、少なくとも一部の患者では20mgへの増量によってさらなる改善が期待できます。
ただし、この結果を、
「すべてのED患者で20mgのほうが優れている」
と一般化することはできません。
10mgから20mgへの増量で改善した例もある
脊髄損傷を有するED患者を対象とした国内試験では、まず10mgで治療を開始しています。
4週間後に10mgで十分な効果が得られず、かつ忍容性が良好だった患者を20mgへ増量したところ、勃起機能のさらなる改善が確認されています。
これは20mgの位置づけを理解するうえで重要です。
つまり、
最初から20mgを選ぶ
のではなく、
10mgでの効果と安全性を確認
↓
必要な患者で20mgへ増量
という考え方です。
PMDAの審査でも、この段階的な用量調整が20mgの承認につながっています。
20mgでは副作用も考える必要がある
用量を増やすと薬物曝露量も増えるため、効果だけでなく副作用にも注意する必要があります。
バルデナフィルでは、
- 頭痛
- ほてり
- 鼻閉
- 動悸
- めまい
- 消化不良
などが報告されています。
国内の糖尿病性ED患者を対象とした比較試験では、副作用は10mg群で22.0%、20mg群で24.2%に認められました。
一つの試験の数字だけから個人の副作用リスクを予測することはできませんが、20mgを選ぶ際には効果だけでなく忍容性を確認する必要があることが分かります。
「10mgで副作用が強いから20mg」はもちろん逆
10mgを服用して、
- 強い頭痛
- 強いほてり
- めまい
- 動悸
- 血圧低下を疑う症状
などが強く出ている場合、20mgへ増量する方向ではありません。
国内添付文書が20mgへの増量条件として「忍容性が良好」と明記しているのはこのためです。
効果が不十分でも副作用が強い場合は、用量を増やすのではなく、医師に相談して服用方法や別のED治療薬を含めて検討します。
10mgを2錠飲んで20mgにしてもいい?
自己判断で追加服用してはいけません。
国内添付文書では、バルデナフィルは1日1回、投与間隔を24時間以上空けることとされています。
たとえば、
10mgを服用
↓
1時間たって十分効かない
↓
追加でもう10mg
という飲み方は避けてください。
20mgへの増量は、10mgでの治療効果と忍容性を確認したうえで医師が判断するものです。
最初から20mgを選べば効きやすい?
国内の承認用法では、通常の成人は10mgが基本です。
そのため、
初回から強い用量を使えば失敗しにくい
という発想で20mgを選択するものではありません。
10mgでも十分な効果が得られるのであれば、あえて薬物曝露量を増やす必要はありません。
ED治療薬では、
必要な効果を得られる適切な用量を使用する
ことが基本です。
65歳以上では20mgを使用する?
国内添付文書では、65歳以上の高齢者は5mgを開始用量とし、最高用量は10mgです。
これは高齢者ではバルデナフィルの血漿中濃度が上昇することが確認されているためです。
したがって国内の承認用法上、
65歳以上
開始:5mg
最高:10mg
となり、20mgは最高用量ではありません。
年齢は用量選択で重要なポイントです。
中等度の肝障害がある場合も最高10mg
中等度の肝障害がある患者についても、国内添付文書では、
開始用量5mg
最高用量10mg
とされています。
また、重度の肝障害がある患者には投与できません。
「10mgで効かなかったから20mg」と単純に増量できない患者がいることを理解しておく必要があります。
他の薬を飲んでいる場合は用量が変わることがある
バルデナフィルは主にCYP3A4という酵素で代謝されます。
国内添付文書では、マクロライド系抗菌薬などCYP3A4を阻害する薬剤との併用では、バルデナフィルの血中濃度が上昇するため5mgを超えないよう規定されています。
また、α遮断薬を服用している場合にも症候性低血圧のリスクがあるため、状態が安定していることを確認したうえで5mgから開始します。
さらに、硝酸薬・NO供与薬、一部のCYP3A4阻害薬、リオシグアトなどには併用禁忌があります。
したがって、用量を選ぶ際にはEDの程度だけではなく、年齢・肝機能・併用薬・心血管系の状態なども確認する必要があります。
20mgにすれば中折れしにくくなる?
10mgで十分な勃起維持が得られない患者では、医師の判断による20mgへの増量によって改善する可能性があります。
バルデナフィルの臨床試験では「挿入できるか」だけではなく、挿入後に勃起を維持できるかも有効性評価の対象になっています。
ただし、中折れには、
- 緊張
- 不安
- 性的刺激
- 飲酒
- EDの原因
- 血管障害
- 神経障害
などさまざまな要因があります。
そのため、
中折れする=20mgが必要
とは限りません。
10mgか20mgかは「強さ」ではなく「必要量」で考える
バルデナフィルの用量選択では、
10mgより20mgのほうが上位の薬
と考えないことが重要です。
有効成分は同じバルデナフィルです。
違うのは1回に体内へ投与する量です。
10mgで十分なED改善効果が得られる人にとっては、10mgが適切な用量です。
一方、10mgで十分な効果が得られず、忍容性に問題がなく、国内承認用法上の条件を満たす場合には20mgが選択肢になります。
したがって、
「何mgが一番強いか」ではなく「自分には何mgが適切か」
という考え方が重要です。
よくある質問
バルデナフィル20mgは10mgの2倍効きますか?
いいえ。20mgには10mgの2倍量の有効成分が含まれますが、臨床効果が単純に2倍になるわけではありません。薬物曝露量は増えますが、効果にはEDの原因や個人差なども影響します。
20mgのほうが早く効きますか?
日本人健康成人男性の試験では、10mg・20mgともTmax中央値は約45分でした。そのため、20mgだから明確に早く効くとはいえません。
20mgのほうが長く効きますか?
半減期は10mgで約3.19時間、20mgで約3.98時間でしたが、半減期と効果持続時間は同義ではありません。20mgは長時間作用を目的として選ぶ用量ではありません。
10mgで効かなかったら20mgを飲めばいいですか?
自己判断では増量しません。国内では10mgで十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性または混合型ED患者で20mgへの増量が可能です。
65歳以上でも20mgを飲めますか?
国内添付文書では、65歳以上は5mgから開始し、最高用量は10mgです。
10mgを飲んで効かなければ、その日にもう10mg追加できますか?
できません。バルデナフィルは1日1回までで、投与間隔は24時間以上です。
まとめ|10mgが基本、20mgは必要な場合の増量用量
バルデナフィル10mgと20mgの違いを整理すると、
10mg
- 国内での通常成人の基本用量
- 性行為の約1時間前に服用
- Tmax中央値約45分
- 半減期約3.19時間
20mg
- 有効成分量は10mgの2倍
- 10mgで十分な効果が得られない場合に検討
- 忍容性が良好な器質性・混合型ED患者が国内承認上の増量対象
- Tmax中央値約45分
- 半減期約3.98時間
となります。
重要なのは、
20mg=2倍効く
20mg=2倍長く効く
20mg=2倍早く効く
という薬ではないことです。
20mgでは血中への薬物曝露量が増加し、国内臨床試験では10mgより高いED改善効果が確認された患者群もあります。一方で、効果だけでなく副作用や基礎疾患、併用薬なども考慮する必要があります。
国内での基本的な考え方は、
まず10mg
↓
効果を確認
↓
副作用・忍容性を確認
↓
必要な患者で医師が20mgへの増量を検討
です。
また、65歳以上や中等度の肝障害がある患者では5mgから開始し、最高10mgとされています。服用量は「より多いほうが良い」のではなく、安全性を保ちながら十分な効果が得られる用量を選択することが重要です。
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